2004/02/13

HTMLメール、そのデザイン作業の特殊性

HTMLメールのデザインは、現時点ではあまり特殊なものだと考えられていません。しかし、実際には他の媒体とは異なる、いくつかの重要な要件が存在します。

当サイト以外に日本国内に「HTMLメール」にフォーカスした情報を継続的に提供しているサイトが少ないこともあり、その点については広く認知されているとは言いがたい状況があります。

きょうは、HTMLメールという媒体のデザイン作業において検討しなければならない、ちょっと特殊なポイントをピックアップしてみたいと思います。

単純な刺激の強化はフォーカスがずれている

メールは顧客との距離感を考える必要があるメディアです。

仮にメールが、TVCFや街頭広告のように、大量のメッセージが強制的に消費者に伝えられる中でいかに独自の心象を形成するかが問われるメディアであれば、動画を使う、Flashを使う、など、単純に刺激を強くする方向に行くことにも合理性があると思います。

しかし、メール広告であればともかく、顧客のパーミッションを得て企業が提供するメールは、「消費者が望んで情報を受け取ってくれる」というメディアです。だとすれば、期待されていないメッセージの押し付けは、結果的に消費者の離反を招き、媒体としての価値を下げることにもなりかねません。

では、HTMLメールという媒体において、提供する情報の価値を最大にするためにどのようなことに気をつければいいのでしょうか?

HTMLメール媒体のデザイン上の考慮ポイントは?

HTMLメールにおいて、デザイン上の重要なポイントを、他の媒体との比較で列挙してみましょう。

  • WEBサイトと比較すると
    • 全コンテンツへのナビゲーションという制約がない
    • 継続的かつ一貫性のある制作が必要であるケースが多い
    • メールアプリケーションという閲覧環境に最適化する必要がある
  • 紙媒体のポスターと比較すると
    • イメージも重視されるが、それ以上に情報価値が重視される
  • 雑誌と比較すると
    • 「読むだけ」ではなく「行動を起こさせる」ことが必要であるケースが多い
    • 単一のページ内で複数の異なるトピックを扱わなくてはいけないケースが多い
  • 新聞折込等のチラシと比較すると
    • 発行部数とコストの相関関係が異なる。
    • より密なリレーションシップの相手に届けることをふまえたコンテンツが必要である
  • DMと比較すると
    • 発行部数とコストの相関関係が異なる。
    • 開封率、アクション率が(現時点では)より高いものになる傾向が強い
    • 物理的なギミックが使えない

上記のようなポイントをどのように実際のデザインに落としていくかを検討しなければなりません。

デザイン、という観点から見て特に重要なポイントは、単一のページ内で複数の異なるトピックを扱わなくてはいけない、という点と、継続的に一貫性のあるデザインを行う必要がある、という点です。多様なコンテンツを扱いながら、一貫性とデザイン性を両立することは簡単な事ではありません。

私たちは、こうした課題に対してHTMLメール独自のクリエイティブブリーフのフォーマットを確立するなど、一定のクオリティを確保できるワークフローの整備を進めています。「マーケティングゴールをHTMLメールのクリエイティブに落とし込む」の記事でご紹介した考え方もその一例です。

また、例えばメールの配信日から逆算して何日前にトピックを確定できるか、それに対してどの程度の素材を準備できるか、という条件によってデザイン作業の中身は変化してきます。デザイン作業のために、そうした諸条件を最適化していくことも、私たちの重要な仕事です。

「長期リレーションのためのオンラインメッセージング」とはなにか?

上記の検討ポイントを満たすと、HTMLメールという媒体の価値や特異性が明確に見えてきます。それは、自社のバリューと密接に結びついた情報をダイジェスト(元の意味は「消化する/消化しやすい」ですね。)にして継続的に提供していく、ということです。自社の持つバリューを、どのような形で、どのような顧客層に提供すれば、自社と顧客と共にベネフィットを得られるか。それが、メールにおける戦略策定の一番のポイントと言ってもいいでしょう。

現時点では、メールに代表されるオンラインでのメッセージングによって長期的に顧客とのコミュニケーションを図っていくメソッドは、(特にグラフィカルな領域において)まだまだ未開拓と言っていいと思います。私たちは、この未開拓な分野に挑むことをとても魅力的なチャレンジだと考えています。賛同してくださるクライアント、パートナー、デザイナー、ライターの方々をはじめとした皆さまとともに、今後ともこのチャレンジを続けていきたいと思います。

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  • Posted by 2004年02月13日 13:12 | このエントリーをはてなブックマークに追加 このエントリーをlivedoorクリップに追加

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